活動報告

更新日
2016.08.18

「平成27年度都道府県別全国ゴルフ場入場者」(速報)について

20160818

 

1.平成27年度都道府県別入場者数の速報値の概況

全国ゴルフ場入場者数は東日本大震災の前年である平成22年度とほぼ同数の8,800万人となり、平成26年度に比較して108万人(+1.2%)増加した。全国ゴルフ場入場者数は、平成14年度に9,000万人を割り込んだ以降、逓減傾向となり平成16年度には8,530万人となった。(平成23年度に8,433万人となったが、これは東日本大震災という特殊要因が大きく影響した結果である。)直近の10年間は、幸いにも70歳以上ゴルファーの堅調なプレー意欲に支えられ8,600万人~8,800万人代で推移してきた。但し、70歳未満の入場者数は、「ゴルフ場利用税非課税制度」が導入され数値把握が可能となった平成15年度の8,427万人から平成22年度に7,758万人となり、平成26年度7,166万人と減少一辺倒であったが、平成27年度は若干増加して7,237万人となった。予断を許す状況ではないが、平成27年度には6,000万人代に落ち込むと予想されていただけに、平成28年度以降のゴルフ界全体の「ゴルフ普及」活動に希望を与えてくれる結果となった。

 

2.直近の入場者数の傾向

第1点

季節的な要因による影響を受ける傾向が顕著に表れていることである。4月~9月の上半期において集中豪雨や台風の影響を受けやすい九州・中国・四国地域の入場者数が減少し、反面、地球温暖化による降雪量の減少で日本海側や北日本地域の降雪閉場日数減により入場者数が増加している。

第2点

70歳以上の入場者数の伸びが鈍化しつつあることである。平成27年度も、70歳以上の入場者数は78万人増加しているが、前年度に比較して4.8%増加に留まったことである。直近の10年間、ゴルフ場入場者数の下支えとなっていた70歳以上者の伸び率が平成24年度13.0%、平成25年度8.5%、平成26年度7.1%、平成27年度は4.8%と低下している。増加率は減速したが、全入場者に占める70歳以上者の割合は、17.8%と前年度比0.6%増加しており、ゴルフ場入場者の6人に1人は、70歳以上者である。特に、「70歳以上者」の割合が20%を超える都府県は、神奈川県28.5%、大阪府23.0%、愛知県21.8%、京都府20.6%、東京都20.5%、埼玉県20.4%と大都市近郊県となっている。

第3点

ゴルフ場の閉場が依然として発生していることである。ゴルフ場数は、平成14年度に2,460ゴルフ場と最大数になった後、平成22年度以降の6年間で135ゴルフ場が減少している。(平成26年度末の2,336ゴルフ場は確定値であり、平成27年度のゴルフ場数は速報値である。そのため、表では11ゴルフ場の減少となっているが、最終的な平成27年度ゴルフ場の閉場数は25ゴルフ場となる見通しである。)この結果、「1ゴルフ場平均入場者数」は、喜べるべきことではないが、平成17年度(平成23年度は除く)の35,173名を底に徐々に回復して平成27年度は37,851名となっている。

「70歳以上者」の伸びは、2020年を境に減少に転ずる可能性が出てきた。反対に、「70歳未満者」は3年振りに増加となり、喜ばしい結果ではあるが、2~3年後には6,000万人台となる可能性は依然として高い。

 

3.今後の対応策についての提案

時あたかも、スポーツ庁と経済産業省は、2020年以降も展望した我が国のスポーツビジネスにおける戦略的な取組を進めるための方針策定として「スポーツ未来開拓会議中間報告~スポーツ産業ビジョンの策定に向けて~」を発表した。この報告書には、ゴルフ場産業界の衰退の要因を「プレーヤーの高齢化や若年層の新規層の未開拓等が考えられる」と記載されている。反面、株式会社日本政策投資銀行が公表している下記の「2020年を契機としたスポーツ産業の発展可能性及び企業によるスポーツ支援」を引用して、ゴルフ府産業の潜在的能力に強く期待している。

「スポーツ施設業の3分の1は、ゴルフ場及びゴルフ練習場のゴルフ産業が占める等、我が国を代表するスポーツ産業の一つである。また、ゴルフは子供から高齢者まで広く親しまれている国民的なスポーツとして、2011年の総務省調査によれば、過去1年間にゴルフをプレーした人数は920万人を超えている。

ゴルフ産業を取り巻く環境は厳しい状況にあるあるが、我が国のスポーツ産業の活性化及び生涯スポーツ社会の実現の観点から、ゴルフを取り巻く環境の改善を図る必要がある」

ゴルフ界全体でのゴルフ人口拡大策に集中した活動を徹底して行わなければならない。「団塊の世代」の全てが、後期高齢者となる2025年まで猶予は10年間しかない。10年間という短い期間において、V字回復的な「ゴルフ普及」効果を生み出すためには、ゴルフ産業界が一丸となって、総花的な「ゴルフ普及策」ではなく、一点集中的な普及策を実施しなければならない。

一点集中策は、ゴルフ開始年齢や年齢別ゴルフ人口分布等から、投資効率が良い(短期間でゴルファーに育成可能)20歳代後半から30歳代前半をターゲットとした施策を展開すべきだろうと考えている。このための戦略立案や下地作りを「日本ゴルフサミット会議」や「ゴルフ市場活性化委員会(GMAC)」が行い、そこで生まれた芽を大きな果実に仕上げる具体的な施策を個別の産業(企業)が実施するとのスキームの構築が急務だ。

「一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会」調べ

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都道府県別来場者(延べ利用者)   (年度)  比較一表 (26・27)(ゴルフ場数含む)

都道府県別来場者(非課税利用者) 比較一覧(26・27)

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